異界通信 編集部|特別調査レポート
秘密結社ではなく「思想のロッジ」
フリーメイソンとは、単なる「秘密結社」ではない。
彼らが集うのは“ロッジ”と呼ばれる会合の場。
そこで交わされるのは、政治や宗教を越えた**「人間としての理想」**を探る儀式と対話である。
18世紀ヨーロッパ。
絶対王政の支配下で「自由」「平等」「友愛」を掲げる思想は、異端の火種だった。
王や教会が支配する世界の中で、メイソンたちは“もう一つの秩序”を築こうとした。
それが――「見えない建築」だったのかもしれない。
シンボル ― 万物を見つめる目
ピラミッドの上に浮かぶ“目”。
**プロビデンスの目(全能の目)**と呼ばれるこのシンボルは、
神の視線、あるいは宇宙意識の象徴とされている。
直角定規とコンパスの重なりは「知と均衡」を意味し、
Gの文字はGod(神)、または**Geometry(幾何学)**を指すという説がある。
一見すると宗教的にも見えるが、
それはむしろ「人間が神に近づくための精神の設計図」――
そう、彼らは“魂を建築する石工”だったのだ。

世界に張り巡らされた“見えないネットワーク”
現在、フリーメイソンの会員数は全世界で600万人以上とされる。
ロンドン、ニューヨーク、パリ、東京――
どの都市にも、外見は普通の建物に見える“ロッジ”が存在している。
彼らはSNSも使わず、広告も出さない。
それでも、世界中の政治家・科学者・芸術家が“何らかの形で”関わっているという。
現代においても、国際的なネットワークを持つ“最も静かな組織”として息づいている。
陰謀か、理想か ― フリーメイソンをめぐる二つの顔
フリーメイソンを語るとき、
「世界を裏で操る組織」「新世界秩序の中心」などの陰謀論が必ず浮上する。
だが、彼らの理念を辿ると、
むしろそれは人間が人間を超えようとする理想主義の延長にも見える。
人間社会の進化を「設計」しようとする意志――
それが善か悪かを決めるのは、結局“観測者”である我々なのだ。

筆者考察 ― 「形なき建築物」としてのフリーメイソン
筆者はフリーメイソンを、「思想の建築士たち」と捉えている。
彼らが建てようとしたのは、実在しない都市――
つまり、“人間の精神構造そのもの”である。
理性、倫理、対話、進歩。
それらを組み上げることで、彼らは見えない神殿を築こうとした。
現代の私たちがSNSやAIで構築している情報社会も、
ある意味では彼らの理念――「自由と共有の精神」の延長線上にある。
だとすれば、
我々一人ひとりが、すでに“見えないロッジの住人”なのかもしれない。
現地情報・アクセス
📍 イングランド・連合グランドロッジが一番有名



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